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書籍情報
発行年月日:2013/02/20
サイズ:新書判
ページ数:205
ISBN:978-4-06-257804-2
定価(税別):820円
内容
宇宙で唯一の生命を育んだ海はどのように誕生した?
「原初の海」は現在の海とどう違っていた?
「事件史」で見る海の誕生と進化!
「水の惑星」46億年の事件史!
宇宙で唯一知られる「液体の水」をもつ海は、さながら「地獄絵図」の原始地球でいくつもの「幸運」の末に産声をあげました。しかし、それはわたしたちにとっては、猛毒物質に満ちたおそるべき海だったのです。
原始海洋が想像を絶する数々の大事件を経て「母なる海」へと変容するまでの過程から46億年の地球進化史を読み解き、将来、海が消えるシナリオにまで迫ります。
書評
私見であるが、若者の理科離れの原因は、2つあると思っている。その一つは、理科教育方法の問題、もう一つは、極論ではあるが、科学では飯が食えないからである。
「なぜ、どうして」という、素朴な疑問を持ち、その疑問に答える事が、物事に興味を持つ始まりである。
前著「山はどうしてできるのか」、そして本書「海はどうしてできたのか」を併せて読めば、山が海と密接な関わりを持ち、海が絶妙なバランスで地球上に存在する事が良く分かる。
科学が目覚ましい発展を遂げ、われわれはその恩恵に浴している割には、科学の中身を良く分かっていない。細分化した、その道の専門家は多いが、例えば「山」や「海」の成り立ちを、広い視点で解説できる人間は少ない。
著者藤岡換太郎氏は、海洋地質学を専門とし、「しんかい6500」に乗り込んで、自ら世界の海底を探検した。それのみならず、歴史、文学、芸術等の書物を漁渉し、その広汎な知識と深い考察は、本書にも至る所で顔をのぞかせる。
本書は、4部で構成される。第1部と2部では、地球46億年史を、「地球カレンダー」すなわち、地球の誕生から現代までを1年に例えて解説する。2月9日海洋の誕生、2月25日生命の誕生、繰り返し起きた生物の絶滅と再生、超大陸と地球大変動、そして、12月31日午後11時37分に人類が誕生した。第3部は、海水と海底地形の関係、第4部では海のゆくえ、すなわち遠い将来、海が消滅する可能性について述べている。
第2部の終わりで、「海が地球環境に果たしてきた役割に比べれば、人類の営みが与える影響などは取るに足りない・・・みずからが破壊した環境のために人類が滅びても、海はまたなにごともなかったように潮騒をならしつづける・・・」という言葉が、特に印象深い。
平成25年2月25日(生命誕生の日[地球カレンダー])
深海居士 門馬大和