平成30年度論文賞 平成30年6月8日表彰
受賞論文
貧酸素水塊の動態に応じたマクロベントスの斃死と回復を表現した底生生態系モデルの開発−三河湾を例として−
海洋理工学会誌,Vol. 23, No. 1(2017)
著者
橋口晴穂氏、市川哲也氏、田口浩一氏、今尾和正氏、曽根亮太氏、和久光靖氏、鈴木輝明氏、中田喜三郎氏、高倍昭洋氏
論文内容と受賞理由
著者らは、内湾域の生態系サービスの保全・再生を推進する上で重要となる底層の溶存酸素濃度の変動に応じたマクロベントス群集の時空間的な予測が可能な底生生態系モデルを開発した。本論文では、このモデルにより三河湾の貧酸素水塊の動態に応じたマクロベントス群集構造の変化および斃死と貧酸素水塊の解消後のマクロベントス群集の新規加入による現存量の変化を再現できることを示した。これまでの生態系モデルでは表現できなかった貧酸素水塊の解消後のマクロベントス群集の回復過程の再現を可能にしたものであり、今後の内湾域における環境修復や保全、高次生物の餌料環境を評価する上で有効な予測手法となると期待される。以上のことから、社会的に重要な課題において、新規的かつ独創的な手法を用い、新たな科学的基礎情報を提供した本論文は、海洋理工学の発展に貢献するものと認められる。
平成29年度論文賞 (この年より表彰年度を変更しました) 平成29年6月9日表彰
受賞論文
青森県汽水湖鷹架沼における流況と塩分躍層の構造特性
海洋理工学会誌,Vol. 22, No. 2, pp11-25, (2016)
著者
植田 真司氏、矢部いつか氏、中田喜三郎氏、久松 俊一氏
論文内容と受賞理由
本論文は青森県汽水湖鷹架沼における放射性核種の挙動について数値モデルを利用して予測するための基礎情報、検証データを取得することを目的とした流況調査を実施し、流況と成層構造を明らかにしたものである。これまでの研究により放射性核種や浮遊物質などの環境水中での挙動を数値モデルで予測するためには、物理場が重要となることはよく知られている。近年の研究では、本論文のような広範囲における現地調査を行わず、限られた現地調査を利用した数値モデルによる流動場の予測手法が多くなっている中、筆者らは鷹架沼を横断するラインかつ長期間の調査結果から流況、塩分躍層形成について解析行い、防潮堤による複雑な流れがあることを示した。さらに、数値モデルによる流動場の再現に必要となる課題を抽出した。この研究方針は、他の海域・湖沼等への解析を行う場合の有効な資料および有益な示唆となる。
平成27年度論文賞 平成28年5月27日表彰
受賞論文
大村湾の貧酸素水塊の消長に関する考察
海洋理工学会誌,Vol. 20, No. 1,No. 2, pp11-27, (2014)
著者
田口 浩一氏、刘 阳氏、叶 灵娜氏
論文内容と受賞理由
本論文は大村湾における貧酸素水塊の発生から消滅に至る過程を数値モデルを駆使して明らかにしたものである。特に貧酸素水塊の消滅に関わるメカニズムの解明に力点を置いて解析を行っている。これまでの研究では9月から10月にかけて海面冷却や強風による鉛直混合が主たるメカニズムであることが推測されてきた。本論文は数値モデルを用いて定量的な解析を行い、9月以降、海面が冷却され始めると、湾の水柱は混合状態に移り、開口部から流入する外洋水が直接底層を経て湾央に届くようになること、そしてこれが底層に酸素を供給し貧酸素水塊の衰退をもたらし、さらに外洋水の湾内移動は小潮期の方が広範に及ぶことを明らかにした。またモデル結果からは、強い北風の連吹を伴う台風の通過が大村湾内の貧酸素水塊の破壊に大きく寄与することも明らかにした。
貧酸素水塊の形成から消滅に至る過程は、それぞれの湾固有のメカニズムが存在する。本論文は大村湾と言うきわめて閉鎖性の強い湾における事例ではあるが、類似した湾での貧酸素水塊の動態解明に大きく資するものである。
平成26年度論文賞 平成27年5月26日表彰
受賞論文
東京湾における30年後の放射性セシウムの濃度推定
海洋理工学会誌,Vol. 19, No. 2, pp27-41, (2013)
著者
江里口知己氏、柳田圭吾氏、堀口文男氏、亭島博彦氏、中田喜三郎氏、高倍昭洋氏
論文内容と受賞理由
本論文は、福島第一原子力発電所事故に伴い放出された放射性物質(Cs-134,Cs-137)の東京湾での挙動について東京湾リスクモデルを使用して評価した。
東京湾へ流入する放射性物質の経路としては、福島事故で大気中に舞い上がったものが、直接東京湾内に沈着する場合と、陸上に沈着したものが雨等により河川に入り河川水として東京湾内に流入したものを考慮している。
東京湾への放射性物質のソースを事後のモニタリングデータから推測し、このソースを使用したモデルの計算結果を東京湾の各モニタリング地点での値と比較している。
計算値は、実際の観測値と比較して6割程度であったが、各モニタリング地点の傾向はよく再現している。
また、海底中の放射性物質の濃度についてもモニタリングの値の傾向をよく示しており、おおよそ東京湾内での放射性物質の挙動については明らかにしている。
また、著者らは、事故後の放射性物質のインベントリーについて再検討(実際には、モニタリングした日より前に事後で発生した放射性物質は東京湾に沈降・流入していると思われるため)のため感度解析的検討を行い、河川からは約2倍のCs-137の流入があることを示した。
また、分配係数を再検討したモデルで、東京湾の海底土中のCs-137の30年後の減衰を計算し、東京湾全域で現在の約13%になることを示した。
このように、福島第一原子力発電所事故に伴い放出された海洋中及び海底土の放射性物質の本解析は、事故時の放射性物質の挙動に関して先駆的論文であり、他の港湾等への解析を行う場合の有効な資料および有益な示唆となる。
平成25年度論文賞 平成26年5月24日表彰
受賞論文
東京湾に生息する魚類中のコプラナーPCBに関する研究
海洋理工学会誌Vol.18, No.1, pp25-32(2012)
著者
亭島博彦氏、江里口知巳氏、小林憲弘氏、堀口文男氏
論文内容と受賞理由
本論文で対象としたコプラナーPCBはダイオキシン類に属し、現在のダイオキシン類暴露の状況下ではコプラナーPCBの寄与は全体の毒性の半分以上といわれている。対象海域である東京湾は、首都圏に隣接し様々な化学物質が流入する半閉鎖的な水域で、環境保全あるいは水産資源的にも重要な海域である。さらに、水産資源を介したコプラナーPCBのヒトへのリスクについて懸念されている。これらのことから本研究のテーマは社会的にも科学的にも極めて重要であると考えられる。
コプラナーPCB、東京湾、水産有用魚種等のキーワードからも察せられるように、その社会的重要性から今までに同様のテーマで多くの研究がなされている。しかしながら、本研究は新規に独自の解析手法を考案することで、新たな科学的基礎情報として、コプラナーPCBの魚類への蓄積性に関する規則性や、新たな視点で捉えたコプラナーPCBの蓄積能に関する魚種間差を提示している。
以上のことから、社会的に重要な課題において、新規的かつ独創的な手法を用い、新たな科学的基礎情報を提供した本論文は、海洋理工学の発展に貢献するものと認められる。
平成24年度論文賞 平成25年5月17日表彰
受賞論文
DONET -海底におけるリアルタイム長期連続モニタリング手法の確立-
海洋理工学会誌 Vol.17, No.2 (2011)
著者
川口勝義氏、荒木英一郎氏、金田義行氏
論文内容と受賞理由
伊豆半島沖から紀伊半島沖、四国沖を経て日向灘に至る南海トラフでは、海溝型巨大地震が繰り返し発生し、歴史的にも甚大な被害をもたらしている。紀伊半島沖熊野灘周辺では、東南海地震の発生が想定されるため、今までに例を見ない大規模な海底観測網を構築した。これは、DONET(Dense
Ocean Network for Earthquake and Tsunami)と呼ぶ海底ケーブル式リアルタイム観測システムで、海底地震計や津波計を面的な展開を可能とし、将来の拡張性や保守性も備えたものである。その実現に必要な給電技術や伝送技術等、多岐にわたる海底リアルタイム観測用ケーブル技術を開発した。また、観測点の構築に当たって、観測点と拡張用分岐装置間を接続するために、全長9km超の細径ケーブルをROVによって展張する手法の確立、地震計の環境ノイズを軽減するため、地震計海底埋設手法の確立等、今迄に成し得なかった高度の海底作業を駆使した構築手法を確立した。その結果、過去に類を見ない高精度なデータのリアルタイム取得を実現している。その技術的成果は、国外においても最先端、最高度と評価出来る。
平成23年度論文賞 平成24年5月25日表彰
受賞論文
浮遊系ー底生系結合生態系モデルを用いた有明海での貧酸素水塊形成機構の支配的要因の解析
海洋理工学会誌 Vol.16, No.2,pp59-91 (2010)
著者
永尾謙太郎氏,竹内一浩氏
論文内容と受賞理由
従来の生態系モデルをより細分化したサブモデル群を結合することで、大きな潮汐・潮流と特徴的な物質輸送を有する有明海に適応させ、7年間にわたる非定常再現計算を実施して、二枚貝類の漁獲量減少の直接要因となっている貧酸素水塊の形成機構の解明を試みた。複雑なモデルを効果的に結合し、物理、化学、生物の素過程を定量的に比較する手法は、今後の生態系モデル解析の新たな方向性を示すものである。
平成21年度論文賞 平成22年5月21日表彰
受賞論文
Large Volume in situ Filtration and Concentration System for Measurements
of Low-level Radioactivity in Seawater
海洋理工学会誌 Vol.14, No.2, pp.39-50(2008) 掲載
(2009年5月7日発行)
著者
青野辰雄氏、日下部正志氏、中西貴宏氏、山田正俊氏、金子 将氏、中村哲也氏、金子俊幸氏、・堀克 博氏、James
K.B.Bishop氏
論文内容と受賞理由
大容量の現場海水ろ過・吸着装置を共同開発し、放射性核種の濃縮に応用した。分析の専門家と工学の専門家との協力によって開発された観測機器であり、本学会の趣旨とする理学と工学の融合にふさわしい内容である。
平成20年度論文賞 平成21年5月15日表彰
受賞論文
Effects of Current Meter Tilting on Current Observation
海洋理工学会誌 Vol.13, No.1, pp.13-20(2007) 掲載
(2008年3月31日発行)
著者
白谷栄作氏、高木強治氏、桐 博英氏、濱田康治氏、丹治 肇氏、中田喜三郎氏、金子俊幸氏、村岡芳郎氏
論文内容と受賞理由
係留型の電磁流速計について、係留時の錘加重の違いによるチルト角変動が、計測される流速に及ぼす影響を、実際に有明海で係留して比較し、場合によっては流速が早いと測器が傾斜し、正確に測定できないことを示した。このような研究が論文になる例はほとんど見受けられず、実際の測定の際に研究者には無視されがちな側面である。本論文は機器開発者とデータを利用する研究者にとって非常に重要な情報を提供しており、本学会の目指す海洋理工学の境界領域での価値ある仕事と考えられる。
平成19年度論文賞 平成20年5月16日表彰
受賞論文
東シナ海と黄海における海面高度の季節変動に関する研究
海洋理工学会誌 Vol.12, No.1, pp.43-51(2006) 掲載
(2006年10月30日発行)
著者
和方吉信氏
論文内容と受賞理由
東シナ海と黄海のような緑辺海を観測した人工衛星海面高度計データは誤差を多く含んでおり、海洋モデルによる検証が難しい。本研究は、このような誤差の影響から長期変動の解析が困難な東シナ海と黄海の季節変動に対する研究である。解析困難な対象海域を取り組んだ成果は、論文賞に値する。
平成18年度論文賞 平成19年5月18日表彰
受賞論文
底生生物群集の構造およびアサリ浮遊幼生の着底状況を指標とした高炉水砕スラグの機能評価
海洋理工学会誌 Vol.10, No.2, pp.19-33(2004) 掲載
(2005年4月30日発行)
著者
本田是人氏、石田基雄氏、家田喜一氏、武田和也氏 、山口安幸氏、鈴木輝明氏
論文内容と受賞理由
内湾等の閉鎖性海域における環境浄化機能を有すると考えられる干潟の機能を定量的に評価することは従来困難であった。本研究は、アサリを指標として定量的な実験系である干潟メソコスムを構築し、かつ産業廃棄物である高炉水砕スラグを活用した環境改善の可能性を示した点は、海洋生物と工学との有機的な連携を図る研究であり、論文賞に値する。
平成16年度論文賞 平成17年6月2日表彰
受賞論文
Risk Assessment of TBT using japanese Short-neck Clams (Ruditapes Philippinarum)
of Tokyo Bay
(東京湾におけるTBTのアサリに対するリスク評価)
海洋理工学会誌 Vol.10, No.1, pp.1-15(2004) 掲載
(2004年11月20日発行)
著者
堀口文男氏、伊東永徳氏、大川 健氏、市川哲也氏、中田喜三郎氏
論文内容と受賞理由
堀口文男氏ほかによる本論文は、TBT(ソースは主に船舶塗料)を対象に、環境リスクアセスメントの考え方や手順が詳細に示されており、今後他の物質への応用に際して、有効な手法および資料となる。また、著者独自の生態系モデルを駆使して論文をまとめており、オリジナリティーの面からも優れた業績と認められる。環境分野における各種化学物質等に関するリスクアセスメントは、米国初め諸外国ではごく普通に実施されているが、わが国では体系的に実施されることはあまりなかった。この点においても、先駆的論文として価値がある。
平成15年度論文賞 平成16年5月14日表彰
受賞論文
Study on Estimation of Original Location of Water Sampled through Inlet
Set on Volunteer Observing Ship
(海洋観測用の船体に設けられた取水口から取水される流体の上流起源推定の研究)
海洋理工学会誌 Vol.9, No.1, pp.37-46(2003) 掲載
(2004年2月27日発行)
著者
日夏宗彦氏、塚田吉昭氏、富田 宏氏、原島 省氏
論文内容と受賞理由
国立環境研究所で実施している定期航路フェリーを使った海水の常時サンプリングによる栄養塩や植物プランクトンの分析において、取水されたサンプル水がどの深さに存在していたかを知ることはデータを解釈する上で重要な要素である。本研究では,模型船による実験とCFD(Computational
Fluid Dynamics)による数値シミュレーションの結果を比較し、両者の一致から上流起源を推定した。実際の船に対してはCFDにより実船尺度で数値シミュレーションを行い上流起源を推定した。この結果は実際にモニターされた微生物観測結果の妥当性を裏付けるものであり,この成果は航走取水観測による海洋観測結果の解釈において非常に有益である。
平成14年度論文賞 平成15年5月16日表彰
受賞論文
多点型CTセンサケーブル−地下水調査用システムの開発と塩水浸入域の観測井での塩分・水温観測−
海洋理工学会誌 Vol.6, No.1&2, pp.19-28(2000) 掲載
(2002年5月15日発行)
著者
西村清和氏、鈴木重教氏、徳岡隆夫氏
論文内容と受賞理由
著者らは、河川河口付近に生ずる塩分躍層、塩分楔の挙動を、定量的かつ時系列的に測定を可能とする方式について、島根県西部江の川河口付近において、数年間にわたり各種の方式(ディジタル式音響探査「塩分」、光ファイバー分布測定「水温」、CTセンサーケーブル方式「塩分」「水温」など)を用いて、測定を行ってきた。本論文では、更にこれらの調査を進めて、これまでに得られた塩分楔の測定・挙動解析、ならびにこれらに使用した各種観測システム技術の成果に基づいて、現地河口付近の塩水侵入地域に観測井を設けて、塩分・水温の連続観測を行った。これらの過去の成果も含めた一連の観測結果と支援技術システムの開発は、河口付近の塩分楔という特異現象の実態解明に貢献を果たした。また、本調査活動は、海洋観測に際しての科学面と技術面の協調・持続した連帯作業の重要性についても、今後の海洋観測研究遂行のあり方として有益な示唆を与えた。
平成13年度論文賞 平成14年5月17日表彰
受賞論文
A practical method of current measurement with three-beam type shipmounted
ADCP
(3ビーム方式の船舶搭載型ADCPによる海流測定)
海洋理工学会誌 Vol.6, No.1&2, pp.29-44(2000) 掲載
(2002年5月15日発行)
著者
道田 豊氏、石井春雄氏
論文内容と受賞理由
1980年代から広く普及してきた船舶搭載型ADCP(音響ドップラー流速計)は,音波を船底から斜め下方の4方向に発射するタイプ(4ビーム型)が主流で,これを用いた流速計測の技術については数多くの研究が行われている.一方我が国では,上記の4ビーム型に加えて,3方向に音波を発射するタイプ(3ビーム型)も広く使用されているが,その計測技術について必ずしも十分な研究が行われているとは言えない.両者は,測器としての原理は同様であるが,計測処理上の計算式等に違いがある。本論文では3ビーム型の船舶搭載型ADCPについて,その計測技術を整理し,計測誤差の主要因が船体への取り付け精度にあることを示し、その実用的な校正手法を提案した。この校正手法は4ビーム型にも共通し、ADCPによる流速計測精度の向上に大きく貢献するものである。
平成12年度論文賞 平成13年5月18日表彰
受賞論文
Relationship between directional distribution of scatterometer-derived
winds and errors in geophysical model functions
(マイクロ波散乱計で観測された海上風の風向分布の指向性とモデル関数の誤差との関係について)
海洋理工学会誌 Vol.5, No.1&2, pp.19-30(1999) 掲載
(2000年7月28日発行)
著者
江淵直人氏
推薦理由
衛星搭載マイクロ波散乱計によって観測された海上風ベクトルの風向分布の指向性とモデル関数の誤差の関係を単純なモデルを用いて調べている。散乱計による観測データは、直接的に海上風のベクトルを測定しているのではないので観測データに含まれる誤差の評価が必要である。本論文ではモデルを用いて誤差の評価と誤差の発生に関する調査を行い原因を明確にしている。衛星搭載マイクロ波散乱計による全球的な海上風の観測精度の向上を図ることはことは、気候変動に関わる大気海洋相互作用の解明のための重要な課題であり、社会に対する学術的貢献という観点からも表彰に値する。
また、著者は、本研究に関連する優秀な数多くの論文を本学会会誌及び一般講演において発表しており、学術的貢献のみならず本学会に対する貢献も大きい。
著者の当該論文に関連する本学会報告および論文
(1) 江淵直人、"QSCAT/SeaWindsマイクロ波散乱計の初期データの精度評価", 平成12年度春季大会一般講演(2000.5).
(2) 江淵直人、花輪公雄、"船舶搭載ADCP及び衛星高度計で観測された日本南方海域の中規模渦", 平成11年度春季大会一般講演(1999.5).
(3) Ebuchi,N.,"Statistical Distributions of Wind Speeds and Directions
Constained in the Preliminary NSCAT Science Data Products",海洋理工学会誌
Vol.3,No.2,(1997).
(4) Ebuchi,N.,"Sea SurfaceTemperature Dependence of C-band Radar Cross
Sections Observed ERS-1/AMI Scatterometer",海洋理工学会誌 Vol.3,No.2,(1997).
平成11年度論文賞 平成12年5月19日表彰
受賞論文
海洋音響トモグラフィーにおける次元性の比較と実海洋的要素を取り込んだ3次元シュミレーション
海洋理工学会誌 Vol.3, No.1, pp.11-22(1997) 掲載
著者
新家富雄氏、鴨志田隆氏、伊藤隆夫氏
概要
海洋音響トモグラフィーシステム(OAT)を評価するために海洋数値モデルを用いて物理的に合理的な海洋の分布場を生成し、2次元/3次元解析システムの比較・評価と実海洋的な要因を取り込んだ3次元システムの評価を行った。その結果、鉛直断面の比較において、3次元(8基)システムが2次元(2基)システムより明らかに海洋の構造を再現性良く推定できることが確認できた。また3次元システムは海洋の水平断面分布(しいては立体構造)も良好に再現することが分かった。これは、独立性の高い音線情報を増加させるために、ブイの基数を増やし、測線の交差点数を増加させたことで、そして独立性の高い音線情報を用いて空間全体として逆問題を解いたためである。単なるブイの基数の増加による音線の本数量の差異ではなく、有効な音線情報の本数の改善によるものであることが、シミュレーションによって初めて示すことができた。さらに、実際的な要因(海洋の時間的変化、潮汐による受信系列の揺らぎ及び雑音による音線情報の欠落)をモデル化して取り込んだ3次元OATシミュレーションでは、3次元化により、これらの性能低下要因に影響されにくくなることが示された。以上のことから、観測システムを3次元化し、基数に制限のあるブイを音線の独立性を高めるように配置することにより、性能低下要因の影響を受けにくく、より再現性良く海洋構造を推定することが可能となることが判明した。
平成10年度論文賞 平成11年5月21日表彰
受賞論文
富栄養化海域における貧酸素水塊の数値解析による再現と工学的改善効果の検討−伊勢・三河湾における事例研究−
海洋理工学会誌 Vol.3, No.1, pp.81-102(1997) 掲載
著者
鈴木輝明氏、寺澤知彦氏
Abstract
Using a numerical model, we reproduced an oxygen-depleted water mass that
occurred during the summer in 1991, in Ise and Mikawa bay that comprise
one of the most eutrophic estuaries in Japan.The most severely oxygen-depleted
water mass appeared in the middle-basin of Ise bay and the inner-part of
Atsumi bay, located in the east of Mikawa bay.In these areas, particulate
organic matter atumulated due to oceanographic features such as horizontal
circulation in the upper-layer and down-welling on the off-shore sides.The
latter feature ultimately obstructed the supply of dissolved oxygen to
the inner-areas of the bays. Carbon cycle and dissolved oxygen budgets
for the bottom layer were calculated for these oxygen depleted areas. We
found that bottom mud consumed the most oxygen(45-66%), followed by the
degradation of particulate organic matter from the upper-layer(21〜35%).
Using this numerical model,we evaluated the feasibility of improving technology
to increase the dissolved oxygen content of water mass for these two areas.The
calculation was based on the assumption that the upper water rich in dissolved
oxygen was supplied to the bottom layer. The calculations were conducted
in these cases. A supplement at 100 m3/min, that was the most biggest in
realizable scale, slightly increased the dissolved oxygen concentration
but was not sufficient to a low recovery of the macrobenthos community.
平成9年度論文賞 平成10年5月表彰
受賞論文
日本海東縁部での津波数値計算
海洋理工学会誌 Vol.2, No.2, pp.71-86 (1996) 掲載
著者
糸井正夫氏、杉浦幸彦氏、山縣延文氏、吉永清人氏、田所篤博氏、山下武宣氏、播磨宗治氏、伊藤勝一
平成8年度論文賞 平成9年5月表彰
受賞論文
A Numerical Experiment to Estimate Biological Effects of the Absorption
of CO2 in the North Pacific Surface Water
(数値実験による北太平洋表層水の生物による二酸化炭素吸収能の評価)
海洋理工学会誌 Vol.1, No.2, pp.26-48(1995)
著者
沓掛洋志氏、中田喜三郎氏、岸 道郎 氏、久保田雅久氏、石田明生